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株式会社吉澤企画 WILLさいたま 代表取締 古澤 隆さん
プロフィール

人材派遣&職業紹介&セレモニーアウトソーシングの会社を十七年前に立ち上げる。当初は仲間一人が手伝う形での起業だったが、一ヵ月後には二名採用。
その一ヵ月後にも二名採用と順調に伸びていき、登録スタッフ百名を抱える大所帯へと成長。四年前に葬儀社WILLさいたまを立ち上げ現在大宮市で奮闘中。
プロフェッショナルには二回目の登場です。
株式会社吉澤企画 http://www.kikaku-y.com/

willさいたま http://www.will-saitama.jp/

 

前回ご登場いただいたのは四年半前ですが、その当時から葬儀社立ち上げを考えていたのですか。

吉 澤: 四年半前というと考えていましたね。

葬儀関連の人材派遣会社を運営する中で、何かきっかけがあったのですか。

吉 澤: いくつかあるのですが、一つには、葬儀のお手伝いをしながらいろいろな経験をさせていただき、スタッフも自分も、もっとこういう葬儀ができないかという思いが強くなってきたんです。評論家的に言っていても仕方ない、じゃ、自分たちでやってみようかと。これが一つの理由です。もう一つは、実はこれが一番大きなきっかけなのですが、人材派遣会社に登録しているスタッフも、年々、年齢が上がってくる。日雇いアルバイトみたいな仕事なのに、十年働いているスタッフもいるんですよ。

前回のお話しにあった、本業を持っていて生活の糧として派遣で働いているスタッフの方々ですね。

吉 澤: はい、いつまでも本業をあきらめられずに続けている人が多いのですが、音楽でも芝居でも、年を重ねるうちにあきらめる人が多くなってきたんです。
せっかくここまで頑張ってきてくれた人が、次に今までの経験を活かせる場所を作れないかと。そこで、WILLさいたま構想が始まるのです。

構想とは。

吉 澤: 単に一社葬儀社を立ち上げるということではなく、多店舗化したいと考えています。家族葬、直葬が多くなっている現状を考えると、地域に密着して地域にとけ込んで暮らしているような、小さな葬儀社が必要になる。葬儀社が大型化する中、地域ごとにそうした密着型の葬儀社が作れないかと考えたんです。
本店では情報を取りまとめ、時代に合った商品を流通させたり、プロモーションの商品を作ったり。アカデミックなことやマーケティングをする。

大型化した葬儀社との違いは。

吉 澤: 大企業では、効率化を考え分業が進んでいます。それぞれの場面で担当者が違う場合が多い。でも、小さな葬儀社ならば、初めから終わりまで一人の担当者が、ご遺族にずっと寄り添っていくような、手作りの葬儀ができます。

吉澤さんが考えるいい葬儀とは。

吉 澤: ご遺族が何を望んでいらっしゃるかによって、その意向に合わせることになりますので一概には言えませんが、理想なのは、相手に気づきがある葬儀。

気づきがある葬儀とは

吉 澤: 葬儀を行うことで家族の縁に気が付いたり、亡くなった方との関わりに気が付いたり。そのきっかけが作れたらと考えています。たとえば、父ちゃんは生前何もしてくれなかったと思っていたけれど、こんなこともしてもらったとか、あんなこともあったとか、見逃していた事実に気が付く。葬儀の中でそんな気づきがあったらいいと思っています。そうしたことに気づくことで、ご遺族は、ほっとした気持ちになり、大切な方の死に向き合って、現実として消化していくことができます。

葬儀後のご遺族のことも考えているのですね。

吉 澤: 残された方のその後の人生に、優しい思い出として残るようなお葬式を実現することも、僕たちの責任だと思っています。

地域に密着してということですが、大宮を選ばれたのは。

吉 澤: 僕は川崎生まれの川崎育ち。大宮は全くのアウェイ。地域密着と考えると川崎がいいのですが、川崎では人材派遣会社を通じて葬儀社とのお付き合いがあります。
そこで、事前相談、葬儀前後のカウンセリングができることを考え来店面談型がいいと路面店舗を探していて、結局大宮にたどり着きました(笑い)。
苦戦するだろうと思っていましたが、アウェイでできる葬儀社が一軒できたら、いい形でその先に進めるだろうと。

今は、人材派遣会社には関わっていないのですか。

吉 澤: 月に一回会議がありそれには必ず出席していますが、後は何かあった時ですね。
お叱りの電話が僕に来たりしますが(笑い)。

葬儀社に全力投球。

吉 澤: そうですね。実は、ある方の葬儀を担当させていただき、ギアが変わったのです。

お話しいただけますか

吉 澤: その方のご遺族の承諾を頂いていますのでお話しさせていただきますが、ホームページを見て、余命宣告を受けた方からお電話を頂きました。自分は余命一ヵ月と言われたから葬儀のことを相談したいと。画家の方でしたが、余命宣告を受け、悲嘆の中で何もしたくないと思っていらっしゃいました。僕は未熟ながらも何とかこの人の役に立つことができないかと知恵を絞り、勉強しているカウンセリングのスキルを使って、時には人に相談し、熱心に取り組みました。その後その方は亡くなってしまいましたが、その方のご葬儀に関われたということで、お金では買えない、人の人生に関わる貴重な体験をさせていただきました。この経験から、 「もっとカウンセリングをしっかり身につけて、お葬式で不安を感じている人たちの役に立てるようになりたい」 と、強く思いはじめたのです。

何が一番変わったと思われますか。

吉 澤: この仕事は、こんなに人の役にたつ仕事だったんだなと、初めて心の底から思いました。葬儀社として本当にやらなくてはいけないことは、亡くなりゆく方や、ご遺族が何を求めているか。故人やご遺族が満足できるかどうかと考える視点を持つことだと気づきました。

今後の目標は

吉 澤: その方の葬儀に関わり、ギアを抜けないくらい入れられました(笑い)。もう投げだすことはできません。投げだせないのだったら前に進むしかないと思っています。僕のこれからの夢は、スタッフたちからカウンセリングを身につけた店長を育て、地域密着型のあたたかい葬儀社を各地に作ること。そして、亡くなられるまでの生き方も応援したいし、悲しみで傷ついたご遺族が、少しでも元気を取り戻せるような応援もしたい。ウィルさいたまのコンセプトは「生き方を応援する葬儀社」。
全力で取り組みたいと思っています。

 

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