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株式会社北国からの贈り物 代表取締役社長 加藤 敏明さん
プロフィール
加藤敏明

大学卒業後、建築士として東京の設計事務所に勤務。そのかたわら九十八年から北海道の実家が営んでいた「蟹の販売」を、インターネットで開始。

自身でシステムを構築することから始めたというビジネスは、今や楽天市場店・ヤフーショッピング店にて数々の賞を受賞するまでに発展している。

http://www.kitaguni.tv/
http://www.kitaguni-net.com/

自然保護、地域の活性化に貢献出来る企業として、売り上げ百億を目指しています。

建築士としての仕事のかたわら、蟹のネットショップ。オープンしてすぐに注文が来たのですか?

加 藤: 九十八年の一月から自分でホームページを作りはじめ、六月から販売をスタート。最初から注文があるとは思っていませんでしたが、月に一件あるかどうかの状況が半年続きました。

止めようとは思わなかったのですか。

加 藤: 思わなかったですね。最初に注文をくださったお客様と、すごくいい出会いをしたんです。「普段おとなしい子どもたちが、お母さんおいしいと部屋中走り回って大喜びしている。家族みんなで楽しいひと時を過ごせました。本当にありがとうございました」と感動的なメールをいただきました。嬉しくてすぐに返信しました。そうしたらまたメールが届いて、「来月兄が上京してくるからお勧めの蟹がありますか」と。「ズワイガニがお勧めですよ」と返したら、一ヵ月後に注文が来た。やりがいがある仕事だなと思いました。

その後売り上げは順調に?

加 藤: いえいえ、一年半自社のショップだけでしたが、売り上げよりも、お客様に喜んでもらえることが嬉しくて。こんなに喜んでもらえる商売は、他にないだろう(笑い)、くらいの気持ちでやっていました。

独立をされたのは?

加 藤: もっとたくさんのお客様に喜んでもらいたい、それには、より多くの方に知ってもらいたいと考えて、楽天市場店に出店したんです。蟹が売れる十二月に勝負をかけ、それがあたりました。これなら商売になるかなと、次の年に会社を辞めて独立しました。

もともと独立は考えていたのですか。

加 藤: 社会人になる前から、いずれ独立しようとは思っていました。私は高校時代まで北海道で育ちました。その北海道の自然保護や町作りの仕事がしたかったので、設計事務所に入社したんです。ただ、自然保護・町おこしは、ビジネスとしてはなりたたない。それをやるにはどうしたらいいか。別のビジネスを立ち上げて、軌道に乗ってきたら、地域に貢献できるようなことができるだろうと考えて、まずはネットショップを成功させようと。そのときの目標が、売り上げで百億の企業を作る。企業として北海道に貢献するとしたら、まずは百億の規模だろうと(笑い)。

独立後は順調に伸びたのですか。

加 藤: ところが思うようにはいきません。会社を辞めてからは、ネットショップで家族の生活を守らなければいけない。先は不安でしたね。それで今まで二週間に一回出していたメールマガジンを、毎週のように出すようにしたのです。しかも売りたい気持ちが前面に出てしまい、「こんな商品が入りました。安く販売します」というような、買って買ってという内容になってしまったんです。お客様にはわかるんですね。逆に売り上げが落ちてきました。一日一件か二件あった注文が、ついに一件も注文が入らない日が一週間続き悩みました。

その時期を乗り切れたのは?

加 藤: 始めたころの気持ちを思い出して、自分は何のために商売をやっているのか、お客様はなぜうちで蟹を買うのか、と考えた。お客様は、僕が売りたいから買ってくれるのではなくて、家族で団欒を楽しんだり、家族の笑顔が見たいから買うんですね。まずはお客様に信用してもらうことが大切だと気がついて、僕のこと、お店のことを知ってもらおうと、メールマガジンの内容を家族の話などに変え、最後に商品紹介を書くようにしたんです。そうしたら不思議ですね、ぽつりぽつりと注文が来るようになりました。家族の話ばかりではつまらないからと、クイズを考えて、正解者に抽選で一名様にたらばがにプレゼント、としたら、またそれが評判になり、口込みで広がっていきました。

その経験が会社のキーワード「笑顔と真心」につながるのですね。

加 藤: そのキーワードをかかげたのはずっと後ですが、忙しいからとサービスを低下させたら、注文0件の日がくる。楽天市場店で検索すると蟹屋が二千件くらい出てくる。その中でうちのお店を選んでくれるって奇跡に近い。一つ一つの注文を大切にしないといけない。僕らが届けているのは、「蟹」じゃなくて「真心」。それを忘れてはいけないし、それをいかにお客様に伝えていけるか。そのためには、スタッフ皆が笑顔で、自分の仕事に喜びと誇りを持つ。それでなければ、お客様を喜ばせることはできない。「笑顔と真心」で仕事ができれば、絶対にお客様に伝わります。

「百億」の目標はいつ頃達成できそうですか?

加 藤: 目標達成までは、後五年。今大きく分けて二つ事業を展開していて、一つはネットショップ。北海道のおいしい商品を全国に届けたいと、少しずつオリジナルアイテムを増やしています。それとeコマースのインフラを整備し、自社の販売ノウハウや業務効率化の仕組みを他店舗さんに提供する事業もしています。僕は穴ぼこだらけの道を自分で舗装しながら走り続けてきました。eコマースの先駆者として、そのノウハウを活かしていきたいと思っています。ネットショップを始めた十年前は、国内では誰も成功していなかったのを、切り開いてきたという自信があります。五年後、わくわくしますね(笑い)。

加藤敏明

 

楽天市場店・ヤフーショッピング店にて数々の賞を受賞するまでに発展している。

http://www.kitaguni.tv/
http://www.kitaguni-net.com/

 

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